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Yusuke Asakura
起業「この会社は儲かるのか、伸びるのか、勝てるのか」——投資家がピッチを聞きながら頭の中で問い続けているのは、突き詰めればこの問いです。しかしピッチする側がやってしまいがちなのは、会社がたどってきた社内の歴史やジャーニーを時系列で説明することです。投資家が知りたいのは過去ではなく、現在の事業の構造と、これからの姿です。 全3回シリーズの第2回「中身編」では、投資家が実際に知りたいポイントに即した5つの原則を解説します。 ▼ 今回のトピック 投資家が聞きたいのは社内事情ではなく事業の構造——儲かる・伸びる・誰が使う・なぜ勝てるか 過去のジャーニーを語らない——現在のスナップショットと未来の変遷に絞る理由 ビジネスモデルは既知の型で示す——SaaS・マーケットプレイス・トランザクション課金で理解コストを下げる VCマネーが入ることで何が加速するか——良い事業とVC投資に向く事業は違う FI表記禁止——自社年度基準ではなくカレンダーイヤーと絶対値で語る ARR・MRR・導入社数は明確に——成長率だけでなく実数値を出すことで次の対話が生まれる 顧客名・プロダクト画面・ビフォアフターで記憶に残す——数字と具体事例はセットで使え 競合は先手で触れる——「競合いません」が最もガッカリされる理由 自社内の新旧比較表は投資家向けには機能しない——初めて会う相手への翻訳を徹底する ▼ 参考キーワード ビジネスモデル、ARR、MRR、ユニットエコノミクス、トラクション、ネットワーク効果、競合分析、SaaS、資金調達 ▼ 参考 KIMONOS https://open.spotify.com/intl-ja/album/2Qfnw0ETnTo3Oy6lqFqqaR?si=g6EOghJHQ7eXecMGC7cw7Q オープンチャット「This is令和スタートアップOC」 https://line.me/ti/g2/hQ6dJIGjMHwD7gGYruUYQBgUj8uxWgiDGFHYCA?utm_source=invitation&utm_medium=link_copy&utm_campaign=default 令スタでは取り上げて欲しいテーマやご質問を募集しています。↓のフォームから是非ご記入ください(匿名です) https://forms.gle/mkoihcHgTJUu4UVp8
投資家の前で話す機会を得たとき、多くの起業家は「いかに詳しく説明するか」に集中してしまいます。しかしピッチの本質は説明ではなく、聞き手目線への翻訳です。 今回は、Animal Spirits主催「Selected Startup Pitch」で78社のピッチを聞き、33社に直接フィードバックを行った経験をもとに、全3回シリーズの第1回「思想編」をお届けします。そもそも投資家とはどういう状態でピッチを聞いているのか——この出発点を押さえないまま準備をしても、伝わるピッチは作れません。 ▼ 今回のトピック Selected Startup Pitchの開催背景——78社・208名の投資家が集まったイベントで見えたこと ピッチのTPO——1対1の会議室と数十名のイベント登壇では、あるべき形が根本から違う オーディエンスの3つの前提——何も知らない・興味ゼロ・情報疲労 6分間のピッチに投資判断を期待しない——ゴールは「個別に話を聞いてみたい」と思わせること 冒頭30秒のワンライナー——最初の一文で何の会社かを言い切ることの絶対的重要性 チーム紹介は経歴の羅列ではなく「なぜこのチームか」の根拠として機能させる 余白の戦略——意図的に語り切らず、聞き手に質問させる上級者の設計 「Uber for ○○」に学ぶ記憶のタグ作り——投資家の頭の棚に収まる説明の力 ▼ 参考キーワード ファウンダーマーケットフィット、ワンライナー、ピッチイベント、YCombinator Demo Day、資金調達、エレベーターピッチ ▼ 参考 瞬きの音 押見修造 https://amzn.to/4eudK2o オープンチャット「This is令和スタートアップOC」 https://line.me/ti/g2/hQ6dJIGjMHwD7gGYruUYQBgUj8uxWgiDGFHYCA?utm_source=invitation&utm_medium=link_copy&utm_campaign=default 令スタでは取り上げて欲しいテーマやご質問を募集しています。↓のフォームから是非ご記入ください(匿名です) https://forms.gle/mkoihcHgTJUu4UVp8
AIのおかげで、製品やプロトタイプを「作る」コストは限りなくゼロに近づいています。一方で、優秀な人材を採用し、顧客に信頼され、人が集まりたくなる文化をつくる──この「人を惹きつける」コストは、まったく下がっていません。誰もがそこそこ良いものを作れる時代だからこそ、最高の人と顧客に「自分を選んでもらえるか」が勝敗を分けます。 今回は、著名VCの Andreessen Horowitz(a16z)が公開した記事『The Lighthouse Playbook(灯台のプレイブック)』を取り上げます。著者は同社でエコシステムづくりを担うデイビッド・ブース。彼が提案するのは、「自分を照らすのをやめ、自分の周りにいる信頼できる人を照らす」という逆説的な戦略です。その人が業界で目立ち、尊敬される存在になるよう、見返りを求めずに手を貸す。すると灯台が船を導くように、その人自身の言葉を通じて、次の優秀な人材や顧客が自然とこちらへ集まってくる──という発想です。最有力の「灯台」は社外のスターではなく、表に出ていない自社の凄腕社員だといいます。インフルエンサー・マーケティングとはむしろ正反対のこのアプローチを、実践の5ステップと、朝倉の視点から見た論点(初期の会社が「旗を掲げる」ことの重要性、社員を押し出すことの引き抜きリスク、「AI時代に実績の価値は本当に下がるのか」という問い)とともに議論しています。 ▼ 今回のトピック 灯台戦略とは何か──自分を照らすのをやめ、周囲の人を照らすという発想 AI時代に逆転する「信頼の伝わり方」:実績の誇示より、信頼する人の一言 最良の灯台は、社外の有名人ではなく自社の「無名の凄腕」社員 インフルエンサー・マーケティングとの決定的な違い:見返りを求めないこと 実践の5ステップ:世界観を掲げる/灯台候補を見つける/その人のブランドを育てる/人が集まる場をつくる/繰り返す Databricks に見る、技術リーダーを「業界で尊敬される発信者」に育てる投資 Googleの教訓:信頼は「自分のサイトから早く送り出す」ことで生まれる 朝倉の視点①:何もない初期の会社こそ、まず「旗を掲げる」ことが最重要 朝倉の視点②:凄腕社員を表に出すことで生じる「人材引き抜き」のリスク 下がらない「人を惹きつけるコスト」を、今後の戦略でどう捉えるか ▼ 参考 StrayCats Elvis on Velvet https://open.spotify.com/intl-ja/track/5hw0jbw8p8vcPmtE1Uktsq?si=8311bb3da49a445a スピーダスタートアップ情報リサーチ https://jp.ub-speeda.com/solutions/startup/ The Lighthouse Playbook https://a16z.com/the-lighthouse-playbook/ オープンチャット「This is令和スタートアップOC」 https://line.me/ti/g2/hQ6dJIGjMHwD7gGYruUYQBgUj8uxWgiDGFHYCA?utm_source=invitation&utm_medium=link_copy&utm_campaign=default 令スタでは取り上げて欲しいテーマやご質問を募集しています。↓のフォームから是非ご記入ください(匿名です) https://forms.gle/mkoihcHgTJUu4UVp8
「あなたが今、一番困っていることは何ですか?」── 顧客発見の定番だったこの質問が、もう通用しなくなっています。優秀なIT担当者は、自覚している課題のほとんどを自分で解決してしまうからです。では、本当のニーズはどうやって引き出すのか。 今回は、IT部門の業務をAIで自動化する Serval(サーバル)が、2024年4月の創業からわずか2年弱でユニコーンに到達するまでの軌跡を、First Round Review の記事をもとに読み解きます。創業者ジェイク・ストーチが前職の物理セキュリティ企業 Verkada(ヴァーカダ)で得た3つの教訓──すでに予算が動く市場に「10倍良いもの」を持ち込む、法人顧客も家に帰れば一人の消費者である、一番難しいところを最初に作る──を軸に、桁違いの規模を誇る既存大手 ServiceNow にどう挑むのか、そしてAI時代に「業務を知り尽くした者」がなぜ強くなるのかを議論しています。 ▼ 今回のトピック 「一番の悩みは?」が効かない理由と、それに代わる新しい顧客発見の問い Serval 創業の経緯:Duke 中退、NeuroPlus、そして Verkada での5年間 教訓①:すでにお金が動く市場に「10倍良いもの」を持ち込む 教訓②:法人顧客も、家では消費者──仕事場に「家の体験」を持ち込む 教訓③:一番難しいところを最初に作り、模倣されない壁にする 自然言語で業務自動化が組み上がる「ワークフロービルダー」と、デモが商談を決める瞬間 巨大な既存大手 ServiceNow への挑み方:「狭く絞る」定石を捨てた両取り戦略 イネーブラーかディスラプターか──朝倉が語る、AI時代に取るべき立ち位置 AI×ドメイン知識:業務を熟知した人材が、なぜこれからより強くなるのか 2026年のテーマ:いかに業務ワークフローに入り込み、UXを獲るか ▼ 参考 ととのいエール https://amzn.to/4dUEARd スピーダスタートアップ情報リサーチ https://jp.ub-speeda.com/solutions/startup/ Serval's Path to Product-Market Fit — Win Enterprise Buyers by Treating Them Like Consumers https://review.firstround.com/servals-path-to-product-market-fit/ オープンチャット「This is令和スタートアップOC」 https://line.me/ti/g2/hQ6dJIGjMHwD7gGYruUYQBgUj8uxWgiDGFHYCA?utm_source=invitation&utm_medium=link_copy&utm_campaign=default 令スタでは取り上げて欲しいテーマやご質問を募集しています。↓のフォームから是非ご記入ください(匿名です) https://forms.gle/mkoihcHgTJUu4UVp8
企業のAI導入は、本当に本番利用まで進んでいるのでしょうか。個人ではChatGPTやClaudeを日常的に使う人が増えていますが、企業の業務プロセスに組み込むとなると、話は一気に難しくなります。 今回は、a16zが公開した “Where Enterprises Are Actually Adopting AI” をもとに、企業がどの業務で人工知能にお金を払い、本番利用を進めているのかを整理します。コーディング、顧客サポート、社内検索、法務、医療といった領域では、成果が測りやすく、人間の確認も組み込みやすいため、導入が進み始めています。 一方で、日本企業では、個人レベルの業務利用は広がっているものの、業務プロセスへの組み込みはまだ限定的です。この差は単なる技術理解の問題ではなく、組織の意思決定、リスク回避、企業文化の問題でもあります。 朝倉はこの状況を、日本のAIスタートアップにとっての機会であると同時に、危うさでもあると指摘します。導入の遅い顧客に合わせてツールを売るだけでは、海外で実績を積んだプロダクトに後から市場を奪われる可能性がある。むしろ、AIを使って既存業務そのものを塗り替える事業に挑むべきではないか。今回は、企業のAI導入の現在地と、日本のスタートアップが取るべき戦い方を考えます。 ▼ 今回のトピック 企業の人工知能導入は、実証実験を超えて本番利用に進んでいるのか Fortune 500、Global 2000で進む主要企業向け人工知能スタートアップの有料導入 コーディング支援が、人工知能導入の本命領域になりやすい理由 顧客サポートで導入が進む背景──件数、解決率、対応コストを測りやすい業務 社内検索、ナレッジ検索が企業の深い課題になっている構造 法務・医療領域で人工知能が入りやすい理由──文書業務と人間の確認 日本企業は、個人利用は進むが業務プロセスへの組み込みが遅い 組織になった瞬間に導入が遅くなる日本企業の構造(朝倉の視点) 人工知能ツールを売るのか、業務そのものを塗り替えるのか 日本のスタートアップは、導入の遅い顧客に合わせるべきか、真正面から既存産業を変えに行くべきか ▼ 参考情報 MOON CHILD -- Blue suede shooting star https://open.spotify.com/track/2COHLG24ios5fXwEQqyFgO?si=0QwCRojHSUianZ0ZEF4jqg スピーダスタートアップ情報リサーチ https://jp.ub-speeda.com/solutions/startup/ Sequoia Capital ポッドキャスト「Long Strange Trip」 Ben Horowitz On What Makes a Great Founder https://sequoiacap.com/podcast/ben-horowitz-on-what-makes-a-great-founder/ オープンチャット「This is令和スタートアップOC」 https://line.me/ti/g2/hQ6dJIGjMHwD7gGYruUYQBgUj8uxWgiDGFHYCA?utm_source=invitation&utm_medium=link_copy&utm_campaign=default 令スタでは取り上げて欲しいテーマやご質問を募集しています。↓のフォームから是非ご記入ください(匿名です) https://forms.gle/mkoihcHgTJUu4UVp8
AIの競争は、モデル性能の優劣だけではなく、企業の業務にどれだけ深く入り込めるかという段階に移りつつあります。OpenAIは、個人利用で広がったChatGPTを足がかりに、法人向け市場への展開を本格化させようとしています。一方でAnthropicは、Claudeを軸に、開発、金融、コンサルティング、専門職業務といった高付加価値領域で存在感を強めています。 今回は、OpenAIの法人向け展開に関するニュースを起点に、なぜAI企業が法人市場に向かうのか、企業導入では何が障壁になるのか、そしてMicrosoftやGoogleのような既存の業務基盤を持つ巨大企業に対して、OpenAIやAnthropicはどこに勝ち筋を見出しているのかを整理します。 重要なのは、単に「どのAIが賢いか」ではありません。企業導入では、社内データの整備、既存システムとの接続、権限管理、情報漏洩対策、利用定着といった現実的な課題があります。OpenAIはトップダウンで法人市場を攻め、Claudeは現場の開発者や専門職から広がる。この対比から、法人向けAI市場の現在地を考えます。 ▼ 今回のトピック OpenAIはなぜ法人向け市場に本格的に向かうのか 個人向けChatGPTの普及が、法人導入の追い風になる構造 AI企業にとって、なぜ法人市場が重要な収益源になるのか 企業導入で問われるのは、モデル性能だけではない 社内データ、既存システム、権限管理、情報漏洩対策、利用定着という導入の壁 Forward Deployed Engineer──顧客現場に入り、AI導入を本番展開まで進める人材の意味 OpenAIの法人戦略と、AnthropicのClaudeが狙う専門職・高付加価値業務 PwC(PricewaterhouseCoopers)との提携に見る、Claudeの法人展開 Microsoft CopilotとGoogle Geminiが持つ、既存業務基盤という強み OpenAIとClaudeは、既存の業務ツールを置き換えるのか、それとも仕事の入口を握るのか トップダウンで攻めるOpenAI、現場から広がるClaudeという対比 AI市場は、MicrosoftとGoogleの代理戦争として見ることもできるのか 日本企業がAIを導入するときに起こりそうな現実的なボトルネック ▼ 参考文献 スピーダスタートアップ情報リサーチ https://jp.ub-speeda.com/solutions/startup/ Where Enterprises are Actually Adopting AI https://a16z.com/where-enterprises-are-actually-adopting-ai/ DX動向2025https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/tbl5kb0000001mn2-att/dx-trend-2025.pdf オープンチャット「This is令和スタートアップOC」 https://line.me/ti/g2/hQ6dJIGjMHwD7gGYruUYQBgUj8uxWgiDGFHYCA?utm_source=invitation&utm_medium=link_copy&utm_campaign=default 令スタでは取り上げて欲しいテーマやご質問を募集しています。↓のフォームから是非ご記入ください(匿名です) https://forms.gle/mkoihcHgTJUu4UVp8
リカーリングレベニュー、シートライセンスの拡張性、ネットドルリテンションのカーブ。これらの指標が右肩上がりであれば、VCは「見たことがあるスケールするパターンだ」と確信できた。SaaSというビジネスモデルが、その確信を支えていました。 今回は、Forbesに掲載されたアレクサンダー・プーティオの論考をベースに、AIがSaaSの前提そのものを無効化しつつある中で、VCの投資判断はどう変わるのか——あるいは変われないのか、という話をしています。創業者は投資家が聞きたいストーリーを語り、LPは自分の判断を疑いたくなく、VCは今の基準を否定するインセンティブがない。このループの中で、誰が最初に「パターンが変わった」と言い出せるのか。朝倉は「SaaS時代のVC投資はイージーゲームだった」と振り返りつつ、「オワコンと言われた時が一番美味しい」とも。 ▼ 今回のトピック VCのパターンマッチング:過去の成功事例との類似性で投資判断する手法の限界 ベン・ホロウィッツの警鐘:「多くのVCはパターンマッチングに頼りすぎている」 エコシステム全体のステータスクオ・バイアス:創業者・LP・VCの全員が現状維持で得をする構造 AIがSaaS指標を無効化する:シートライセンスモデルの前提が崩れ始めている ソフトウェアの作り方と使い方、両方が変わった:非エンジニアでも構築可能、エージェントが組織の壁を超える 2人と手紙だけで800万ドル調達:AI時代の「勝つ企業」の姿 参入障壁の移動:製品の技術的優位性からブランドと信頼の獲得へ SaaS時代のVC投資は「イージーゲーム」だった:メトリクスが信じられる限りにおいて Tiger Globalに代表される非伝統的投資家の参入と退場、PSR20倍の時代の教訓 ピーター・ティールの問いとVCの現実:「自分だけが信じている真実」は大抵間違っている 新規VCを今から始めることの困難さと、「みんながダメと言っている時こそチャンス」の逆説 ▼ 参考情報 OMSB「大衆」 https://open.spotify.com/track/33aS7sSaFqxb9RN8uTNUzC?si=XMUiBOEDQTKfUGsoIVRH3g スピーダスタートアップ情報リサーチ https://jp.ub-speeda.com/solutions/startup/ AIがSaaSモデルを破壊する中、VCは過去のパターン認識に固執している https://forbesjapan.com/articles/detail/95257 オープンチャット「This is令和スタートアップOC」 https://line.me/ti/g2/hQ6dJIGjMHwD7gGYruUYQBgUj8uxWgiDGFHYCA?utm_source=invitation&utm_medium=link_copy&utm_campaign=default 令スタでは取り上げて欲しいテーマやご質問を募集しています。↓のフォームから是非ご記入ください(匿名です) https://forms.gle/mkoihcHgTJUu4UVp8
ロジカルシンキング、問題解決、プロジェクトマネジメント。どんな職業でも通用する「ポータブルスキル」さえ身につけておけば安泰だ——私たちは長らくそう信じてきました。ところがAIの登場以降、そのポータブルスキルそのものが、誰でも呼び出せる「コモディティ」になりつつあります。 スキルが交換可能な共通通貨になった世界では、「スキルそのもの」を磨くこと以上に、「どの盤面=どのゲームで戦うか」を見極める力が問われます。これを本書は メタスキル/メタゲーム と呼びます。 今回は、書籍『メタスキル』の出版対談として、この概念を軸に——戦闘力を競うゲームから一度降り、自分に有利なルールの上へ立ち位置を組み替えるとはどういうことか、そして無自覚に発揮される3つのメタスキル「作為を見抜く」「空気を読まない」「急所を突き続ける」とは何か、を掘り下げています。 ▼ 今回のトピック メタスキルとメタゲーム — 本書が本当に語っているのは「戦略」である AI時代にスキルが「共通通貨」化し、コモディティになるという前提 ポケモンのように召喚できるスキルを、どう組み合わせ、どんなデッキで戦うか マッキンゼー「CEO量産機」神話と、ポータブルスキルの終焉 盤面を選ぶ — 戦闘力ではなく、ゲームのルールを書き換える スペックは高いのに「生き方が下手な人」がハマる罠 メタスキル①「作為」を見抜くセンサー — 誘導される文章、空虚な権威 メタスキル②空気を読まない(流されない)— 予定調和を嫌うという知性 メタスキル③急所を突き続けるキャラクター — 痛いからこそ愛される構造 「何が書かれていないか」を読む批評家精神 自分自身の「作為」を検知し、あえて厳しく指摘してもらうという視点 「革新的」と並べるだけのピッチを、人はなぜ一瞬で見抜くのか AIという「部屋の中の象」を、日本企業はなぜ見て見ぬふりをするのか ▼ 参考文献・キーワード 『メタスキル:努力の価値が変わる時代の「AI×自分」戦略』深津貴之 (著), けんすう(古川健介) (著), 尾原和啓 (著) https://amzn.to/4nOulRS ジャック・ウェルチ『ウィニング 勝利の経営』— 率直さ(キャンダー)/ Let's Face It 「Elephant in the Room(部屋の中の象)」 編集・見立て・レトリックという知的遊戯と、その限界 渋沢栄一『論語と算盤』— 言行一致と「作為のなさ」 Anthropic「Claude Skills」— スキルのパッケージ化とポータビリティ オープンチャット「This is令和スタートアップOC」 https://line.me/ti/g2/hQ6dJIGjMHwD7gGYruUYQBgUj8uxWgiDGFHYCA?utm_source=invitation&utm_medium=link_copy&utm_campaign=default This is 令和スタートアップでは取り上げて欲しいテーマやご質問を募集しています。↓のフォームから是非ご記入ください(匿名です) https://forms.gle/mkoihcHgTJUu4UVp8
優れたプロダクトをつくり、現場でもよく使われている。チャーンも起きていない。それなのに、事業はなぜか伸びない。多くのSaaSスタートアップが直面するこの停滞の正体は、プロダクトの良し悪しではなく、顧客企業の意思決定の遅さにあります。 今回は、ゴールデンウィークに飛び込んできた「AI大手とPEファンドの提携」というニュースを入り口に、PEがAIを武器に企業を上から変革していく「P×AIモデル」の構造を読み解きながら、スタートアップは「イネーブラー」であることをやめ、「ディスラプター」としてフルスタックに事業を取りに行くべきではないか、という話をしています。 ▼ 今回のトピック OpenAI×TPG、Anthropic×ブラックストーン ── 同日に立ち上がった「AIコンサル会社」の正体 総額8000億円、5年で2.4倍を確約 ── 17.5%というハードルレートの異常さ PEの基本構造:バイアウト、レバレッジ、そして「結局はレバレッジゲーム」という業界の本音 金利上昇局面で、AIは本当に「オペレーションのα」を生み出せるのか バリューアップは価値創出か、それともLP向け・ソーシング向けのアピールか 95%のAI導入が失敗する理由 ── MIT・ギャラップ調査が示す「中間管理職の抵抗」 イネーブラーという固定観念を捨てる ── ディスラプターとしてのフルスタックスタートアップ 令和トラベル、Cursor、ユニクロ・SHEIN ── 「自分でやりきる」企業たち 労働流動性が低い日本でこそ、フルスタック・ディスラプターに活路がある ロールアップスタートアップという「日本特有のハック」 ── PEをVCのレバレッジで出し抜く 創業者は、金融プレイヤーよりも「この産業を本気でやる人」を選ぶ ▼ 参考文献・キーワード 『メタスキル:努力の価値が変わる時代の「AI×自分」戦略』深津貴之 (著), けんすう(古川健介) (著), 尾原和啓 (著) https://amzn.to/4nOulRS マーク・アンドリーセン「フルスタックスタートアップ」 FDE(Forward Deployed Engineer) ハードルレート/レバレッジド・バイアウト(LBO) MIT・ギャラップによるAI導入調査(95%が全社展開に失敗) 令和トラベル/Cursor/SHEIN/ユニクロ(SPAモデル) ロールアップスタートアップ ブラックストーン/TPG/ベイン オープンチャット「This is令和スタートアップOC」 https://line.me/ti/g2/hQ6dJIGjMHwD7gGYruUYQBgUj8uxWgiDGFHYCA?utm_source=invitation&utm_medium=link_copy&utm_campaign=default This is 令和スタートアップでは取り上げて欲しいテーマやご質問を募集しています。↓のフォームから是非ご記入ください(匿名です) https://forms.gle/mkoihcHgTJUu4UVp8
20歳で起業し、ダイヤルQ2ビジネスで一世を風靡するも翌年に経営破綻。7億円の負債を背負った和歌山出身の女子大生は、その後GMO熊谷正寿氏と出会い、ザッパラスを創業して上場企業の代表を20年以上務めることになります。 今回は、日本のインターネット黎明期から令和まで、起業家として駆け抜けてきた玉置真理さんをゲストにお迎えしました。SNSも顔写真も出さず、長らく表舞台に出てこなかった「伝説の起業家」が、自らの半生と、上場企業の代表を退いた後に立ち上げた新事業「キャリア逆転塾 ヒトハタ」について語ります。 ▼ 今回のトピック 和歌山から東京大学へ、サークル活動の延長としての起業 ダイヤルQ2ネットワーク創業と、20歳での経営破綻 「市場が一夜で4割に、入金サイトは2ヶ月から4ヶ月へ」― キャッシュフロー破綻の瞬間 7億円の借金返済生活と、痛みが麻痺していく感覚 インターキューが世界一になった日 iモード黎明期、夏野剛氏との縁から始まったザッパラス創業 「事業計画書は出しません、上場もしません」― 信頼だけで集めた創業資金 父の死と「働くとは何か」という問い 大義なき欲望から始まった起業の強さ ― 社会課題ドリブン世代との対比 消耗労働という構造課題と、新事業「キャリア逆転塾 ヒトハタ」への挑戦 学歴も経験もない人が伸びるための「ビジネス基礎力」とは ▼ 関連キーワード ダイヤルQ2ネットワーク/インターキュー/GMOインターネット/ザッパラス/『社長失格』板倉雄一郎/『あのバカに任せてみよう』/iモード/夏野剛 ▼ 参考情報 島倉千代子「人生いろいろ」 https://open.spotify.com/track/5hIBNRNYo7zVcXNgbO4kCD?si=P1BacrG8QEC_Sq9xdbYKOg キャリア逆転塾 ヒトハタ https://hitohata.co/ 玉置真理さんのPodcast『メタ仕事論』(朝倉もゲスト出演しています) https://open.spotify.com/show/0TKrkefoV5MgtSv6b7Mjmw?si=IhlBQRvsTZiLysVUpa7-8Q オープンチャット「This is令和スタートアップOC」 https://line.me/ti/g2/hQ6dJIGjMHwD7gGYruUYQBgUj8uxWgiDGFHYCA?utm_source=invitation&utm_medium=link_copy&utm_campaign=default 令スタでは取り上げて欲しいテーマやご質問を募集しています。↓のフォームから是非ご記入ください(匿名です) https://forms.gle/mkoihcHgTJUu4UVp8
採用において、最も失敗しやすいポジションはどこか。A16Z共同創業者のベン・ホロウィッツは、迷わず「営業統括責任者(VP of Sales)」だと答えます。理由は単なる相性の問題ではなく、エンジニア気質のファウンダーが、まったく異なる思考様式を持つ職種を評価しようとする構造的なミスマッチにあります。 今回は、Sequoia Capitalが運営するポッドキャスト「Long Strange Trip」に2026年2月に出演したベン・ホロウィッツの回をもとに、採用、Founderモード、企業文化、CEOの自己革新という四つの論点を取り上げています。経営の本質を抽象的な価値観の言葉ではなく行動の水準まで落とし込んで語る、ホロウィッツらしいエピソードの要約をご紹介します。 ▼ 今回のトピック 最も失敗しやすい採用は「営業統括責任者」──ベン・ホロウィッツの観察 エンジニア気質のファウンダーと優れた営業人材のあいだにある思考のミスマッチ 「誰を連れてくるか」が示す営業リーダーの実力 何を売ったかではなく、どれだけ難しい状況で売ったか──Databricks初代営業責任者の例 Founderモードの本質と、その誤用への警鐘 経験豊富な人材を避ける判断が、エンタープライズ向けビジネスで生むリスク カルチャーを規定するのは行動である──Andreessen Horowitzが社内で明示的に禁止していること 抽象的な価値観の言葉が「プラティチュード(陳腐な決まり文句)」になる構造 CEOの自信は30年かけて育つ──ザッカーバーグ、ジェンスン・フアン、マスクの場合 自分が分からない領域の人材を、どう評価するか(朝倉の視点) 看板で売ったのか、実力で売ったのか──マーケターのキャリア評価への示唆 ▼ 参考情報 VIDEOTAPEMUSIC https://open.spotify.com/artist/7yyl43NN4h6ZFP1DnbzeaJ?si=VA3hcWKRQBW9BuTvc7FO2w スピーダスタートアップ情報リサーチ https://jp.ub-speeda.com/solutions/startup/ Sequoia Capital ポッドキャスト「Long Strange Trip」 Ben Horowitz On What Makes a Great Founder https://sequoiacap.com/podcast/ben-horowitz-on-what-makes-a-great-founder/ オープンチャット「This is令和スタートアップOC」 https://line.me/ti/g2/hQ6dJIGjMHwD7gGYruUYQBgUj8uxWgiDGFHYCA?utm_source=invitation&utm_medium=link_copy&utm_campaign=default 令スタでは取り上げて欲しいテーマやご質問を募集しています。↓のフォームから是非ご記入ください(匿名です) https://forms.gle/mkoihcHgTJUu4UVp8
偉大なファウンダーCEOには、共通の「型」があるのでしょうか。マーク・ザッカーバーグ、イーロン・マスク、DatabricksのAli Ghodsi──三者三様で、見た目も性格もまったく異なります。ところがA16Z共同創業者のベン・ホロウィッツは、数百社への投資経験から「型はないが、共通点はある」と言い切ります。 今回は、Sequoia Capitalが運営するポッドキャスト「Long Strange Trip」のベン・ホロウィッツ回をもとに、偉大なファウンダーCEOに共通する二つの素質、突出した知性は創業者に必須かという問い、ベンが今最も優れていると評するCEOの存在、そしてCEOが組織を壊す二つの失敗パターンを取り上げています。具体的な経営者の名前と挿話を交えながら語られる、経験豊富な投資家ならではのエピソードが参考になります。 ▼ 今回のトピック 偉大なファウンダーCEOに「型」はない──ベン・ホロウィッツの観察 共通点その一:自分の頭で考えること──ピッチの場で相手の顔色を読んで答えを変えない 共通点その二:人を引きつける力──コリン・パウエルのリーダーシップの定義 数学オリンピックや将棋チャンピオンのような突出した知性は創業者に必須か──Sequoia社内の議論 市場と事業の性質によって、求められる知性は異なる(HubSpot vs Google・NVIDIA) 「最高の企業は例外なく、例外的に頭のいい人間が創業している」 ベンが「今、最も優れている」と評するDatabricks CEO Ali Ghodsi イラン革命で全てを失った経験が、異常な危機感(パラノイア)の源泉に ファウンダーCEOが陥る失敗パターン一:過度な権限委譲が生む社内政治 ファウンダーCEOが陥る失敗パターン二:決断の先送りこそ最も危険な不作為 「旗を掲げる」「率直さ(Candid)」──朝倉の補助線 空気を読めない、ではなく、空気を読んだ上で読まないという決断力 ▼ 参考文献 スピーダスタートアップ情報リサーチ https://jp.ub-speeda.com/solutions/startup/ Sequoia Capital ポッドキャスト「Long Strange Trip」 Ben Horowitz On What Makes a Great Founder https://sequoiacap.com/podcast/ben-horowitz-on-what-makes-a-great-founder/ オープンチャット「This is令和スタートアップOC」 https://line.me/ti/g2/hQ6dJIGjMHwD7gGYruUYQBgUj8uxWgiDGFHYCA?utm_source=invitation&utm_medium=link_copy&utm_campaign=default 令スタでは取り上げて欲しいテーマやご質問を募集しています。↓のフォームから是非ご記入ください(匿名です) https://forms.gle/mkoihcHgTJUu4UVp8
ドイツの2026年Q1のVC投資額は41億ユーロ(約7650億円)。これは日本の2025年通年のスタートアップ投資とほぼ同規模です。人口は日本の約68%、GDPは1.2倍。とんでもなく桁が違うわけではないが、確実に先を行っている——。 今回は、PitchBookの「Germany Market Snapshot」をベースに、ドイツのVC市場を掘り下げています。AI関連が投資額の85%を占め、わずか2社で全体の6割という極端な集中構造。産業ロボティクス、エネルギー転換、防衛といったセクターの顔ぶれは日本に重なるところが多く、「フィジカルAI」の可能性も共通しています。一方で、公的・準公的資金の層の厚さ、ミュンヘン工科大学の領域別ベンチャーラボのきめ細かさには差がある。そして防衛予算の増額とVCのサイドレター制約の間にある溝——朝倉は「LPの姿勢と時代の変化に歪が生じている」と指摘しています。 ▼ 今回のトピック ドイツQ1のVC投資額41億ユーロ、日本の通年投資額とほぼ同規模という現実 AI関連が35億ユーロ(85%)、Neura Robotics(15億ユーロ)とClover(10.4億ユーロ)の2社で6割 産業ロボティクス・エネルギー転換・業務ソフトウェア——ドイツと日本のセクターの重なり 「フィジカルAI」という共通の勝ち筋:工業国ドイツの選択と日本の可能性 防衛費増額が追い風に:防衛・ロボティクス・宇宙・AIで大型ラウンドが続出 公的・準公的資金の層の厚さ:KfW WIN Initiative(26.4億ユーロ)、EIF German Equity(16億ユーロ)、High-Tech Gründerfonds、DeepTech & Climate Fundsなど JICや中小機構との類似点と、ドイツの方が種類・規模ともに充実している現実 政府調達という「売上」:防衛・宇宙領域で政府がスタートアップの顧客になる構造 ミュンヘン工科大学のTUM Venture Labs:ロボティクス、AI、航空宇宙防衛、量子半導体など領域別のインキュベーション 敗戦国としての共通の制約と、「アメリカの傘」が閉じつつある現実 ESG・サイドレターと防衛投資の矛盾:次のラウンドがフォローできないリスク パランティアの宣言に見る時代の転換点 ▼ 参考情報 スピーダスタートアップ情報リサーチ https://jp.ub-speeda.com/solutions/startup/ Q1 2026Germany Market Snapshot https://pitchbook.com/news/reports/q1-2026-germany-market-snapshot オープンチャット「This is令和スタートアップOC」 https://line.me/ti/g2/hQ6dJIGjMHwD7gGYruUYQBgUj8uxWgiDGFHYCA?utm_source=invitation&utm_medium=link_copy&utm_campaign=default 令スタでは取り上げて欲しいテーマやご質問を募集しています。↓のフォームから是非ご記入ください(匿名です) https://forms.gle/mkoihcHgTJUu4UVp8
1年前、ヨーロッパで最もお金が集まっていたセクターはヘルスケアとバイオでした。AIは3番手で、投資額は27億ドル。それが2026年Q1には92億ドル——3倍以上になり、トップセクターが完全に入れ替わっています。 今回は、前回の北米に続いて、Crunchbase NewsとPitchBookのデータをベースにヨーロッパのQ1投資動向を見ています。金額は伸びているのに件数は40%減という「選択と集中」の深まり、AI×クリーンテックやAI×先端製造といった既存産業との掛け合わせで資金が流れている構造、そして調達ではAIが主役なのに出口ではまだAIの比率が下がっているという時差。朝倉の「バブルが弾けるタイミングとエグジットのタイミング、どっちが先に来るのか」という問いかけも。 ▼ 今回のトピック 欧州Q1投資総額176億ドル(約2兆6400億円)、前年同期比で堅調な伸び 件数は前年同期比40%減——金額増・件数減の「選択と集中」が鮮明に レイターステージ92億ドル(前年同期比91%増)、アーリーは20%減 シード31億ドルの内訳:フランスのAdvanced Machine Intelligenceの10億ドル級調達が牽引 1年でトップセクターがヘルスケアからAIに完全交代:27億ドル→92億ドル AI×クリーンテック(82.4%増)、AI×先端製造(271.8%増)——AIが他セクターに波及 フィンテックは前年比10%減の見通し:AIに「押し出されている」構図 地域別:イギリス74億ドルが圧倒、フランス29億ドル、ドイツ19億ドル IPOウィンドウは開きつつあるが全面回復ではない、出口の半分がM&A 調達はAI主役だが、出口でのAI比率は42.1%→22.6%に低下——この時差の意味 VCファンドレイズは記録的低水準から若干持ち直し(35億ユーロ) 90年代のインターネット、2010年代のスマホと同じ構造:AI波は時差で日本にも来る バブルと未上場期間の長期化を掛け合わせたとき、レイターは「ハラハラする展開」になる ▼ 参考文献 スピーダスタートアップ情報リサーチ https://jp.ub-speeda.com/solutions/startup/ AI Drives Europe’s Second Straight Quarter Of Funding Gain As Deal Volume Falls Sharply https://news.crunchbase.com/venture/funding-picked-up-ai-led-europe-q1-2026/ European Venture Report https://pitchbook.com/news/reports/q1-2026-european-venture-report オープンチャット「This is令和スタートアップOC」 https://line.me/ti/g2/hQ6dJIGjMHwD7gGYruUYQBgUj8uxWgiDGFHYCA?utm_source=invitation&utm_medium=link_copy&utm_campaign=default 令スタでは取り上げて欲しいテーマやご質問を募集しています。↓のフォームから是非ご記入ください(匿名です) https://forms.gle/mkoihcHgTJUu4UVp8
北米のスタートアップ投資額が、2026年Q1だけで約40兆円に達しました。前四半期比277%増、過去最高記録です。ただし、その88%はレイターステージが占めており、OpenAI単体の1220億ドル(約19.4兆円)だけで過去の四半期最高額を上回っています。 今回は、Crunchbase NewsとPitchBookのデータをベースに、この「Surges(サージ)」の中身を分解しています。件数は減っているのに金額だけが爆発する構造、AI関連が金額の87%・件数の42.5%を占める偏り、シードのバリュエーションがトップ5%で1年前の3倍に跳ね上がっている現実。そしてOpenAIが日本人の個人投資家にまでミニマム1ミリオンで声をかけているという話も。 ▼ 今回のトピック 北米Q1投資額約40兆円、前四半期比277%増の内訳 レイターステージが88%を占める構造:OpenAI・Anthropic・xAI・Waymoの巨額調達 OpenAI 1220億ドル、1社だけで過去四半期最高記録を超えている異常値 アーリーステージも前年同期比56%増、件数減でも1件あたりが大型化 シードは横ばいだがバリュエーションが急騰:トップ5%は173ミリオン(約250億円) AI関連が金額の87%、件数の42.5%——AI企業は非AIより半年短い間隔で次のラウンドへ AI以外で関心が残る領域:防衛テックとサイバーセキュリティ IPOは回復基調だが「待ち行列」解消には程遠い、上場企業の4割がバイオテック M&Aの主戦場はAI戦略:Google×Wiz 320億ドル、SpaceX×Cursor買収の動き VCファンドレイズも極端な偏り:6社で全体の76.2%を占める集中構造 OpenAIが日本人個人にもミニマム1ミリオンで出資を打診——「民主化しすぎやろ」問題 ▼ 参考情報 『ヒューマンインザループ 未来企業サクラス』サメ係 https://amzn.to/42rBtti スピーダスタートアップ情報リサーチ https://jp.ub-speeda.com/solutions/startup/ North America Q1 Funding Surges Across Stages To Record Level https://news.crunchbase.com/venture/funding-surges-all-stages-ai-north-america-q1-2026/ PitchBook-NVCA Venture Monitor https://nvca.org/pitchbook-nvca-venture-monitor/ オープンチャット「This is令和スタートアップOC」 https://line.me/ti/g2/hQ6dJIGjMHwD7gGYruUYQBgUj8uxWgiDGFHYCA?utm_source=invitation&utm_medium=link_copy&utm_campaign=default 令スタでは取り上げて欲しいテーマやご質問を募集しています。↓のフォームから是非ご記入ください(匿名です) https://forms.gle/mkoihcHgTJUu4UVp8
GPT、Claude、Gemini。3つのAIプラットフォームのアプリストアが重複しているのは、わずか11%。残りの89%は完全に分岐している——。 今回は、Andreessen Horowitzが発表した「Top 100 Gen AI Consumer Apps」第6版をベースに、AIの競争が「モデルの性能比較」から「プラットフォームの覇権争い」へと移行しつつある構造、エージェントの台頭、そして音声とデスクトップによる「アンビエント化」が数ヶ月単位で迫っているという話をしています。朝倉の「会食のお礼メールAI活用法」や、2023年にはまだ議事録係のインターンを採用しようとしていた話など、実感ベースのAI浸透度も。 ▼ 今回のトピック GPT週間アクティブユーザー9億人、世界人口の10%超が毎週使っている現実 Claude成長率200%超、Gemini258%——追う側の速度が示すもの GPTは全方位型、Claudeはプロシューマー型、Geminiは既存ユーザー浸透型:3社の棲み分け 記憶の蓄積が乗り換えコストを跳ね上げる——「Sign in with ChatGPT」構想の意味 検索戦争ではなくモバイルOS戦争:iOSとAndroidのような並立へ OpenCrew(→OpenAI買収)とManus(→Meta約20億ドル買収)に見るエージェントの進化 コーディングという垂直領域から汎用タスクへ:エージェントの水平展開 デスクトップネイティブAIとアンビエント化——ブラウザを開かずにAIがそこにいる世界 音声が「今後6〜9ヶ月で最大のトレンド」になるという断言 AI普及率1位はシンガポール、アメリカは20位——文化的楽観性が普及速度を左右する 日本の普及はアーリーアダプターとマスで大きな差がある可能性 「数年後ではなく数ヶ月単位」で変わるという予測、答え合わせはいつか ▼ 参考情報 スピーダスタートアップ情報リサーチ https://jp.ub-speeda.com/solutions/startup/ The Top 100 Gen AI Consumer Apps — 6th Edition https://a16z.com/100-gen-ai-apps-6/ オープンチャット「This is令和スタートアップOC」 https://line.me/ti/g2/hQ6dJIGjMHwD7gGYruUYQBgUj8uxWgiDGFHYCA?utm_source=invitation&utm_medium=link_copy&utm_campaign=default 令スタでは取り上げて欲しいテーマやご質問を募集しています。↓のフォームから是非ご記入ください(匿名です) https://forms.gle/mkoihcHgTJUu4UVp8
「余裕がある状態とは、重要なことに人が割り当てられていない状態だ」——ロビンフッドのCEO、ブラッド・テネフはそう語ります。1万5000人規模の上場企業になってもなお、競合が動いた数週間後には新サービスを開始し、計画サイクルを数日に圧縮し続ける。そのスピードは偶然でも気合いでもなく、意図的に設計された仕組みの産物です。 今回は、セコイア・キャピタルのポッドキャストシリーズ「Long Strange Trip」から、前回に引き続きロビンフッドCEOのインタビューを取り上げます。テーマは「組織が大きくなっても経営スピードを維持するには」。計画プロセスの圧縮、外部締め切りの活用、速さと品質の両立、そして現場感覚を失わないCEOの実践まで、スケール後の組織運営に直結する論点を見ていきます。 ▼ 今回のトピック 競合が許可を取得した数週間後にサービス開始——事前インフラ投資がスピードを生む構造 「スラックゼロ」の哲学:余裕があるとは人員配分が最適化されていない 計画サイクルを数日に圧縮する——大企業病の温床「プロセス肥大化」との戦い プロダクト発表イベントを計画の骨格にする——外部締め切りが品質と速度を同時に担保する 速さと品質はトレードオフではない——優れたエンジニアは最速かつバグが最少 「判断が不確かな段階は情報収集に、やるべきことが明確になったら最大速度で」の使い分け 何かを確実にやり遂げたければ、最も忙しい人に頼め——優秀さと多忙が連動する現実 10年ビジョンの典型的失敗パターン:解像度の高い1年目に集中し、遠い未来は積み上がるだけ 「3つのアーク」戦略——短期・中期・10年のゴールを先に定め逆算する構造化思考 Metaの事例:2018年のAI・VR投資が約8年後に現実のものになりつつある長期アーク 長期投資を株式市場にも説明し続ける——上場企業ならではの経営コミュニケーション課題 CEOが現場感覚を失わない方法:カスタマーサポート対応とUXリサーチへの積極的参加 ブローカーライセンスを取得して現場対応の幅を広げるCEOの徹底ぶり 「誰が言ったか」vs「何を言ったか」——SNS・メディア不信時代の情報判断軸 ▼ 参考文献 スピーダスタートアップ情報リサーチ https://jp.ub-speeda.com/solutions/startup/ Sequoia Capital「Long Strange Trip」EP.07 「The Wartime CEO:Vlad Tenev of Robinhood」 https://sequoiacap.com/podcast/the-wartime-ceo-vlad-tenev-of-robinhood/ オープンチャット「This is令和スタートアップOC」 https://line.me/ti/g2/hQ6dJIGjMHwD7gGYruUYQBgUj8uxWgiDGFHYCA?utm_source=invitation&utm_medium=link_copy&utm_campaign=default 令スタでは取り上げて欲しいテーマやご質問を募集しています。↓のフォームから是非ご記入ください(匿名です) https://forms.gle/mkoihcHgTJUu4UVp8
急性の危機は、最悪の瞬間さえ乗り越えれば終息に向かう。だが、毎日少しずつ悪くなる「スロー・バーン」の消耗戦は、終わりが見えないぶん、精神的に遥かにきつい——ロビンフッドのCEO、ブラッド・テネフはそう振り返ります。 今回は、セコイア・キャピタルのポッドキャストシリーズ「Long Strange Trip」に出演したロビンフッドCEOのインタビューをもとに、同社が経験した4つの大型危機(2020年のシステム障害、2021年のゲームストップ騒動と議会証言、2022年の株価90%超下落、2023年のSVB破綻の余波)と、そこでCEOがどう考え、どう動いたかを見ていきます。危機のただ中でメンタルを崩さないための思考法にも踏み込んでいます。 ▼ 今回のトピック Robinhood:2013年創業、手数料ゼロの株式投資アプリ 4つの危機の全体像:2020〜2023年、毎年何かが起きた4年間 ゲームストップ騒動の構造:個人投資家 vs ヘッジファンド、その震源地にいたロビンフッド 買い注文を停止した夜:証拠金規制と批判の嵐、一夜で数十億ドルの調達を迫られた局面 最もきつかった危機は「急性」ではなく「慢性」——400日以上続いた株価の下落 株価総額が現金保有額を下回っても動じられた理由:「まだ打てる手がある」という確信 危機時のCEOの思考順序:ベストな人材の確認 → 自分にしかできないことへの絞り込み 「常に戦時」という根本思想:危機感のなさ自体が経営リスクになる 信頼回復に魔法の手段は存在しない——謝罪ブログより、プロダクト改善の積み重ね NPS急落と信頼回復の非対称性:落ちるのは一夜、戻るには年単位 ナイキ・アップルも同じ過程を経た——プロダクトの地道な改善、長期的な一貫性 朝倉が語る経営者のメンタル管理術:不安を「紙に書く」ことで客観視する効果 ▼ 参考情報 スピーダスタートアップ情報リサーチ https://jp.ub-speeda.com/solutions/startup/ Sequoia Capital「Long Strange Trip」EP.07 「The Wartime CEO:Vlad Tenev of Robinhood」 https://sequoiacap.com/podcast/the-wartime-ceo-vlad-tenev-of-robinhood/ オープンチャット「This is令和スタートアップOC」 https://line.me/ti/g2/hQ6dJIGjMHwD7gGYruUYQBgUj8uxWgiDGFHYCA?utm_source=invitation&utm_medium=link_copy&utm_campaign=default 令スタでは取り上げて欲しいテーマやご質問を募集しています。↓のフォームから是非ご記入ください(匿名です) https://forms.gle/mkoihcHgTJUu4UVp8
「人生で最悪の3時間だった」——あるシリアル・アントレプレナーが、自社の取締役会をそう振り返ります。資料作成だけで100時間以上を費やし、当日はスマートフォンで読めないPDFを棒読みするだけ。会議の大半が無駄だったというペインが、今回紹介するプロダクト「ZEC」の原点です。 今回は、ウォルマートへの売却やGoFundMeへの売却を経た連続起業家ジェフリー・ウォルフ氏の記事をもとに、初めて外部資金調達に挑んだ創業者の実体験と、そこから導き出された資金調達の3原則を見ていきます。朝倉のVCとしての実務的な視点も交えながら、投資家との向き合い方の本質に迫ります。 ▼ 今回のトピック ZEC誕生の原点:取締役会での「人生最悪の3時間」が解決すべき課題を定めた 過去2社はブートストラップ、今回あえて外部資金を選んだ理由 資金調達の第1原則:ピッチデックの1枚目に「なぜ魅力的なのか」を置け 100件中1件——冒頭に結論を置けている会社がいかに少ないか ペインを語り続けて、自社事業にたどり着かないピッチの構造的問題 「削ぎ落とし」ではなく「選択」——120%語りたいのを30%に絞る覚悟 5分ピッチはフラストレーションが残るくらい絞り込んで初めて伝わる 資金調達の第2原則:速さは知性を超える——レスポンスの速度が信頼を作る 資金調達の第3原則:数のゲームと割り切る——成約率1〜5%の現実と打席数の論理 うまくいくときは拍子抜けするほど簡単——「タイミングと相性」が支配する資金調達 自責志向は大切だが、噛み合わない相手への労力は無駄である 投資家・取締役会との関係構築:事業で使うデータをそのまま共有する透明性 日本のVC市場は投資家の数で見るとかつてと比べ大きく変化している ▼ 参考文献 スピーダスタートアップ情報リサーチ https://jp.ub-speeda.com/solutions/startup/ How a stressful board meeting—and a little luck—led to a large seed round https://carta.com/blog/fundraising-files-zeck/ オープンチャット「This is令和スタートアップOC」 https://line.me/ti/g2/hQ6dJIGjMHwD7gGYruUYQBgUj8uxWgiDGFHYCA?utm_source=invitation&utm_medium=link_copy&utm_campaign=default 令スタでは取り上げて欲しいテーマやご質問を募集しています。↓のフォームから是非ご記入ください(匿名です) https://forms.gle/mkoihcHgTJUu4UVp8
VC業界には、奇妙なパラドックスが潜んでいます。ポートフォリオ企業には「明確な意思決定者を置け」と指導しながら、自分たちは全員一致の合議制で動いている。「スケールせよ」と説きながら、自らのファンドは上場させない。「価格規律を守れ」と言いながら、バリュエーションが吊り上がる入札競争に参加し続けている——。 今回は、シリコンバレーのシード投資家でVillage Globalの共同創業者、ベン・カズノーシャ(Ben Casnocha)が7年間のファンド運用を経て書き下ろした長編ブログを題材に、VCファームの「裏側」を読み解きます。エントリー価格の規律、ガバナンスの構造的欠陥、そして「ファンド1号の大成功は長期的には必ずしも吉ではない」という逆説的な成功の罠について、朝倉の実体験も交えながら議論しています。 ▼ 今回のトピック 「いい事業」と「いい投資」はなぜ別物なのか 発見か逆張りか——競争入札を避ける2つのアプローチ Village Globalの戦略:ポストマネー評価1,000万ドル前後で投資する意味 大当たりへの信仰が「生存者バイアス」にすぎない理由 VCファームのガバナンス不全:合議制が招く責任の空洞化 影の権力構造——フラットな組織図の裏に生まれる非公式ヒエラルキー 投資に集中したいならファームを作るな——LP対応とバックオフィスの見えないコスト VCの収益構造の本音:管理報酬(Management Fee)とキャリードの非対称性 成功の罠:ファンド1号が大当たりするほど長期的に危うくなる構造 ファンドサイズが2倍になると「全く別のビジネス」になる理由 遅行指標の罠——GPの実力と評判のズレがLPに見えにくい問題 最適な成功は最大ではない——4倍リターンが7倍リターンより健全な場合とは ▼ どうでもいい話 Chanpan https://open.spotify.com/track/0xsACxtkQkj3tCkmg0ZPUX?si=dmsZM74rQhmirNKGNhyn7g ▼ 参考情報 スピーダスタートアップ情報リサーチ https://jp.ub-speeda.com/solutions/startup/ Ben Casnocha「30,000 Hours with Village Global: Lessons & Field Notes from Building a New Venture Capital Firm」 https://casnocha.com/30k-hours-with-villageglobal-lessons-vc-platform オープンチャット「This is令和スタートアップOC」 https://line.me/ti/g2/hQ6dJIGjMHwD7gGYruUYQBgUj8uxWgiDGFHYCA?utm_source=invitation&utm_medium=link_copy&utm_campaign=default 令スタでは取り上げて欲しいテーマやご質問を募集しています。↓のフォームから是非ご記入ください(匿名です) https://forms.gle/mkoihcHgTJUu4UVp8